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最新の養生法・リハビリテーションの考え方! PEACE&LOVE 動いて治そう

アイシング? もう古いそうです

 

皆様、気付けば梅雨も明けて暑い夏です。

いかがおすごしでしょうか。

 

本当に久しぶりのブログ更新になりますが、打撲や筋肉痛など軟部組織の炎症や外傷について2020年カナダのブリティッシュコロンビア大学の興味深い論文が紹介されていたので書きたいと思います。

以前はRICE処置が定番でした

トレーナーさんやボディケアのセラピスト方や指導者の方は耳にした事のある言葉です。 軟部組織損傷のリハビリ管理の言葉の頭文字を取ったモノです。

R REST(安静)

I  ICING(冷却)

C COMORESSION(圧迫)

E ELEVATION(挙上)

『RICE処置』で検索すると詳しく載ってるサイトは沢山ありますのでそちらで。

そもそもアイシングって?!

先程挙げたRICE処置については1978年に提唱されたものですが、提唱した本人のDrガベ・ミルキンが2014年に『RICEのうち安静とアイシングは回復を遅らせるかもしれないと述べたそうです。

 

さて、従来のアイシングについてですが、ケガや手術の直後に体の組織を治す細胞が出る前は痛めている所が腫れ→溜まっている液が組織を圧迫して良くない→冷やして腫れを抑える

体を治す細胞が出てきた頃には→温めて循環を促す

こういう流れでした。しかし後で述べてますが現在は【炎症なくして治癒は無し】が定番になりつつあります。

 

安静に関しても、最近の腰椎ヘルニアの手術や他の手術後において、かなり早い段階で医師から『病室内で歩いて』とか言われたという話は聞いたことがあるかと思います。実際、その方が傷の治りや機能回復が早まるからです。

受傷直後にPEACE

では、受傷直後のPEACEについて

P PROTECTION、プロテクション 保護。出血や患部をぶつけたり等悪化させない為の保護を指します。大切なのは全く身体の活動を停止するような安静ではなく1日~3日間の負荷や動きを制限する事です。組織の機能や質の低下を最小限に抑える事。

 

E ELEVATION、エベレーション 挙上。患部を心臓よりも高く挙げて必要以上の腫れを抑えるためです。ドラマ等で足の骨折して入院の際に脚が高く吊り上げられているシーンのがソレです。 

 

A AVOID ANTI-INFLAMMATORIES、アヴォイド アンチ インフラメトリー 抗炎症薬を使うのを避けましょう、という意味です。炎症というのは体を治すプロセスで起こる大事な事なので、それを無理やり抑えてしまうのは回復を遅らせる事なんだそうです。 例えるならノロウイルス等の感染性胃腸炎で普通にしていれば2~3日で治るのに市販の下痢止めを飲んでしまい体内でウイルスが増殖して重症化する事とか。 アメリカ整形外科学会では【炎症なくして治癒は無し】と言われているとか

 

C COMORESSION コンプレッション 圧迫、これは従来通り患部の腫れや出血を抑えるためです

 

E EDUCATION エデュケーション 教育、ケガした状態を選手や患者に伝えて理解して貰い状態に応じた負荷(してよい事やリハビリの必要性)をコントロールする事です。 ぎっくり腰や慢性腰痛の方が寝たままで余計に悪化したり回復が長引くのを防ぐ意味でもあります(うちですと痛みがある程度引いたら、重い物を無理な態勢で持つのは控えつつ、歩くや簡単な家事など無理のない動作はして下さいとアドバイスしたりするのがソレです)

言い換えるとインフォームドコンセントとも言えますね

その後の管理はLOVE

その後の回復期の管理のLOVEについてです。

これもまた大切です。

 

L LOAD ロード、最適な負荷の調整。痛みを悪化させる事の無い最適な負荷の運動は回復するスピードを加速させることができます。例えるならモトGPライダーが手首を骨折してボルト固定してトレーニング再開して驚異的な回復を見せてシリーズ復帰を果たす話。大げさに感じるかもしれませんがアスリート以外でも程度の違いはありますが、リハビリなどはそういう意味ですね。

 

O OPTIMISM オプティミズム、楽観的に考えなさいという意味です。楽観的や前向きに考えた方が治りが早いという話や、実際に慢性腰痛の方でウツ気味の方やストレス値の高い方は痛みを強く感じてしまう(脳科学)という事があるからです。

 

V VASCULARISATION バスキュラリゼーション、血管新生。 損傷の数日後に痛みの無い範囲での有酸素運動は患部の血管と血流を増やすという事です。逆の話で運動を全くしないと毛細血管の数は年齢と共に減少ゴースト化してしまうという事です。

 

E EXERCISE エクササイズ 運動。受傷部位の筋肉を増やすことはケガの再発を防ぐと言われてます。腰痛の方が医師から腹筋や背筋等をつけなさいと言われるのには根拠がありますね。

最後に

今回の話はアスリートに限った話ではなく、一般人にも当てはまる話だと思います。

 

私自身、筋トレでオーバーワークの翌日に背腰部の痛みが出た事もありますが、軽いジョギング後に痛みが無くなっていたり、軽い筋トレをして調子が上がる事があります。逆に全く何もしないで長引いた経験もあります。

決して無理をしろという話ではなく、適切に運動やリハビリをして回復していただけたら良いですねという事です。

 

今日も明日も皆様が健やかでありますように。