タイ古式マッサージの基礎知識

タイ古式マッサージとは

 

 

 

「世界で一番気持ちいいマッサージ」との別名を持つタイ古式マッサージ。

 

 


その特徴は、なんといっても、「セン」といわれるエネルギーラインへの刺激と、アクロバティックなストレッチです。

人体の流れである「セン」に従い、足のつま先から頭の上まで全身をくまなくほぐしていくことにより、血液やリンパの循環を促します。

 

 また、 「二人ヨガ」と言われるパートナーストレッチを多用し、一人では伸ばせない筋肉を伸ばしていきます。別名の「世界一きもちのいい」のとおり、とっても気持ちよくて、施術後は疲れがとれスッキリします。

 

 タイの伝統的な古式マッサージは、本来、約2時間から3時間かけ足先からゆっくりゆっくり長い時間をかけてほぐすことが特徴です。

 

  数十分の身体の一部分への刺激では、一時的な回復しか得られないからです。

タイランドにおけるタイ古式マッサージとは

タイの町を歩いていると、タイマッサージの看板をよく目にします。場所によっては、一つの通りに何軒もの看板を見かけることもあります。それほど、タイではマッサージが大衆に受け入れられています。最近の調査では、体調がすぐれない時、約5割の人が病院ではなくマッサージを受けに行くといわれています。
それほどマッサージが受けられている理由の一つは、なんといってもその気持ちよさにあるでしょう。

また、タイで最も有名な寺院であるワット・ポー寺院内には、伝統医学学校があり、そこでもタイマッサージが教えられています。そして全国に厚生省・文部省の認定校が多数あり外国人にも広く門が開かれています。

 

 

タイ古式マッサージの施術効果とは

タイマッサージの施術効果は現代医学的に証明されています。タイの保健省では、その効果に注目をして、病院内で治療に応用する試みが行われ、頭痛、腰痛、肩こり、生理痛、生理不順、喘息、高血圧、冷え症、便秘、アレルギーなど数十種類の症状に効果があることがわかってきました。
これだけの症状に効果があれば、たとえ自覚症状がなくても、多くの人がマッサージを受けに行く理由が理解できます。また、西洋医学では扱えない、予防医学的効果も大きな特徴で、定期的に受けることで、症状が悪化して大病になる前に、病気を治してしまうことも可能なのです。


タイ古式マッサージの歴史

歴史をさかのぼること2500年。ブッダの主治医シヴァカ・コマラパ師が今に伝わるタイマッサージや薬草療法の基礎を作ったと言われています。

シヴァカ師はサンガ(仏教僧の集団)の筆頭医師として活躍していました。当時、仏教僧たちを救っていた仏教医学は、仏教の伝来と共にタイに伝わり、中国医学を吸収し、タイ伝統医学として確立されました。そして、ワットと呼ばれる寺院で、民衆を救っていくのです。

タイでのワットの役割は、仏教の教えを説く所だけではなく、集会所や学校の代わりにもなり、病院の役割を果たすこともありました。そのワットで、タイマッサージは奉仕活動の一環として、体の悪い人たちに無償で施されたのです。

 

タイ古式マッサージの精神

 

タイマッサージは、仏教の影響を受けたタイ伝統医学の中で育まれてきました。

仏教の考えがタイマッサージ、「タイマッサージ道」そしてセラピストに求められるモラルや倫理のそのバックグランドであるといえます。

その最も象徴的とも言えるのが『四無量心の無限の心』

『慈・悲・喜・捨』なのです。

慈・・・人に楽を与えたい心

悲・・・人の苦しみを取りのぞいてあげたいと思う心

喜・・・苦の無い良くなった事を共に喜ぶ心

捨・・・そうしてあげた事に執着しない心

 

慈・悲はセラピストの使命

喜はセラピストの生きがい

捨はプロとしてのプライドです。

 

 

タートとセン

タイ伝統医学では、宇宙が地、水、風、火の4つのタート(要素)で構成されると考えられ、その4つのバランスが崩れる時、人間も病気になると信じられています。

 

 

「地」(タート・ディン):筋肉、骨、歯、内臓などの土に帰る要素で構成

「水」(タート・ナーム):血液、リンパ液、汗、尿などの水分の要素で構成

「風」(タート・ロム) :呼吸、下から上へ通る風、上から下へ通る風、腸内の

             風などの動きの要素で構成

「火」(タート・ファイ):体温、老化の火、消化の火などの熱の要素で構成

 

 

 

 

 

タイ伝統医学では、人の体の中には72000本の生命エネルギー(prana)の流れる経路(エネジーライン)があると考えています。
生命エネルギーの役割は、4大元素のバランスを保つことです。
タイマッサージは、体の72000本の生命エネルギーのラインのうち、10本を主要なエネジーライン(センプラターン10)と考えています。
つまりタイマッサージは、この10本の主要エネジーラインをマッサージすることによって、生命エネルギーの流れを良好にし、よって4大元素のバランスを整えて自然治癒力を回復させ、病気を治療または未病のうちに防ぎます。







タイ伝統医学のテクニック

タイマッサージは、頭のてっぺんから足のつま先までの、体のあらゆる部分を施術の対象としています。そしてその技術は、指圧・マッサージとストレッチ、そして矯正の三つの部門に分けられます。『指圧・マッサージ』で凝った筋肉をよくほぐし、『ストレッチ』でその緩んだ筋肉を十分にのばし、最後に『矯正』で体の歪みを整えるという、現代医学に照らし合わせてみても、理想的な施術体系を持っています。
また、『とてもゆっくりと施術していくタイマッサージ』を受けている時、脳内はアルファー波で満たされ、半覚半眠の状態にあり、非常にリラックスした気分を味わえます。この精神を安定させ、心をリラックスさせる鎮静作用も大きな特徴のひとつです。


タイ古式マッサージの目的

タイマッサージの最大の特徴は、マッサージをする側も、される側も「無我の境地」に近づくことです。マッサージを始める前には、「オンナモ」というマントラを唱え、これから良いマッサージができるようにお祈りをし、シワカ・コマラパ師に感謝の気持ちをあらわします。そして、マッサージ中は、自分と相手の呼吸に注意を払い、体の一部を圧す時やストレッチをする時は、ゆっくりと吐く息にタイミングを合わせるようにします。
この深くて長い、吐く息が中心の呼吸は「アナパーナ・サティ」と呼ばれ、この呼吸法を繰り返し行うことにより、副交感神経が優位になり、マッサージをする側もされる側も「深い静寂の状態」に近くことができます。これこそが、仏教の影響を受けたタイマッサージの最終的な目標なのです